歯周病は地球上に生きている大人であるかぎり全員が持っている 慢性疾患で、一言で言うと、体の骨の一部(歯を支えている骨)がとける病気

歯周病とは

歯周病は、歯と歯肉の隙間のプラーク(歯垢)の中に棲息する歯周病原菌の感染によって起こります。感染の結果、歯肉に炎症が起こり、歯を支える骨(歯槽骨)が吸収されていく病気で、最終的には歯を支えることが出来なくなり、抜けてしまいます。現在では歯周病細菌-全身疾患関連説も注目されるようになり、歯肉への局所の炎症だけではなく、心臓疾患や糖尿病などの全身疾患の悪化につながるなど、健康への影響に関心が高まっています。歯周病の原因菌は私たちの口腔内に既に存在する常駐菌であり、1種類ではありません。これらの病原菌による混合-複合感染です。さらに代表的な歯周病原菌は、家族間での食事の口移し、食べかけの食品の分与などで、唾液を介し感染する経路が最も有力視されています。つまり、親が歯周病患者である場合は治療を適切に行うことにより、子供への感染のリスクを減らし、さらには将来の発症のリスクを減らすことに繋がります。

歯周病の治療

歯周病は、程度に差はあるものの、地球上に生きている大人である限り、全員が持っている慢性疾患です。その殆どは自覚がなく、逆に自覚があったり、歯周病の治療を希望される方というのは、かなり病気が進行しています。歯肉が腫れ上がったり、歯が動いたりしている場合は、病気になってから長い期間が経っていることが多いため、治療にも相応の期間が必要になります。治療が早く終わるに越したことはありませんが、じっくり腰を据えた治療が必要です。歯周病は重症になる前に適切な治療をすることが特に大切です。当院では、歯周病が進行していると考えられる患者さんには、自覚がない場合でも歯周病についての説明を行うよう心掛けております。

プラークコントロール

歯周病の原因は歯周病原菌による感染です。原因菌の除去にはその棲息しているプラークを除去(プラークコントロール)する必要があります。プラークコントロールは、患者さん本人が家庭で歯ブラシを使って行うことが中心となり、それは歯周病治療において最も重要な治療となります。プラークコントロールが出来ていない方に、他のどんな治療を施しても歯周病は治らないと言っても過言ではありません。「歯を磨いていますか?」と尋ねれば、「磨いています」と皆さんが答えますが、きちんと磨けているか調べてみると、実は殆どの方が磨けていないのです。磨いているのに歯周病になるのはプラークが殆ど取れていないからなのです。適切なブラッシングの技術を習得し、歯周病の巣窟であるプラークを除去出来れば、歯周病の状態は確実に改善していきます。